レベルが上がる、という過程について

急に頭んなかで、ゴルフのレッスンプロと美容師が繋がったんだ。


美容師がブラシやスタイリング剤を駆使してとてつもなくかっこいいスタイルを
作り上げることって、
レッスンプロが生徒さんが持ってるドライバーを全力で振り切ってとてつもない
ロングドライブを出すことなんじゃないか、と思った。


そりゃ自己満だし、本当の意味でお客様のことを考えてることじゃないよ。


だって考えてもごらんよ。
レッスンプロが求められていることってそういうことじゃないはずだ。
生徒さんの素振りをチェックしたうえで後ろに立って、
肩の位置とか腰の回転とか腕の動きとかをチェックして
手取り足取り教えてあげて、明日からひとりで打ちっぱなしに来ても
安定したフォームでいい球筋のボールを打ってもらわないといけない。
つまり、自分がいないとダメじゃ困るわけだ。
もっと言えば、自分が不必要になることを心から願わなきゃ行けないわけだよ。


そういう意味で、
美容師ももっとプロのスイングを見せてすごいだろぉ、ということを自制しなきゃいけない
んじゃないかと思う。
お客さんみたいなアマチュアなスイングでも結構いい球筋出るでしょ。
ドライヤーでぱぁっと乾かすだけで、ここまで行くんだから、という具合にね。
明日からお客様だけでなんとかやっていく日が2ヶ月か3ヶ月かそれ以上続いていくわけだから
お客様ってスタイリングというある種のスイングをどんなふうにやって、どんなクセがあって、
というのを把握してさ、その上で、最適なスイング軌道を教えてあげなきゃね。


何事もさ、素人を素人のままでいさせて
自分の必要性をずっと温存するってのはよくないことで、
自分がいなくなったって安心だっていう状態を作ることが
逆説的に自分が不可欠であることを知らしめちゃうんだってことに気づかなきゃ。


そうすると、同じ風景が見えてたとしても、そこは螺旋階段を登った次のフロアなんだよ。


あと、作り込みすぎたスタイルはかっこわるいんじゃないか、という視点も持ってみない?
風が吹いても動かない髪ってどうなのかな。
美容室に行ったときぐらいきれいなスタイルでいたい、というのって
裏をかえしたら、行った日じゃないときれいなスタイルになんかできないってことじゃないの。


僕は美容室に行ったってことがバレバレのスタイルなんかよりも
常にいつケアしてるのかがわかんないくらいのスタイルのほうがよっぽどかっこいいと思うよ。
もちろん、スタイルチェンジしたときの話ではなくってね。


はやくこのあたりの地域もそういう価値観の人が増えないかな、と思うよ。
増えないかな、とか他人事みたいなこと言って、自分たちが増やしていくために動かなきゃいけないわけ
なんだけどね。


バーやってる人だったら、多くの家庭で食後にシングルモルトウィスキーが出てきたり、
「今晩、お父さん早く帰って来れたから、久々にシェイカーでも振ろうかな」とか
言う人が増えてバーなんか行かなくたっていいよ、おうちで十分おいしいのが飲めるからね、ってことを
夢見なきゃいけないんだよ。


でね、そうなったらバーに行かないかって言ったらそんなことあるわけないじゃん。
よりバーの奥深さを理解した人がたまに自分のいたらなさを知るために、目指すべきモノを
再確認するためにバーに足を運ぶだろうよ。


そういう風にして、ある種のレベルってのは上がっていくのだよ、きっと。